2013年9月16日月曜日

佐藤健太郎の重要性が身にしみただけの決戦・・・(第33節京都サンガ)

  京都・大木監督はやはり鬼門だ。だけど最大の敗因は「自滅」といったところか・・・。オシム監督が認めたスーパーアタッカー・山瀬選手を掴まえられず、ホームでショッキングな逆転負けを喫しました。前節の福岡戦で坂田選手に引き裂かれた守備陣が、坂田選手から横浜Fマリノスの主力の座を奪った山瀬選手に対峙するわけですから、前節以上の危機的状況だったはずです。前半こそはプレッシングで相手を上回りましたが・・・。結果的に大木監督の掌で踊ってしまった(これがファンには一番悔しい!)。

  京都の思わぬ低迷とジェフの勝ち星が伸びない。どちらも「弱い」チームなんだろう。もちろんJ2でガンバと互角に戦える戦力を持っているという見方もあるけど。先日、日本代表の試合を見ていてジェフ(あと京都)がなぜ弱いのかが、ちょっとわかった気がした。日本代表もコンフェデの前後から雲行きが怪しくなっていた。先日のテストマッチは相手の戦力(グアテマラ・ガーナ)にやや疑問は残るが、グアテマラ戦のヒドい前半はまるでジェフがうまく行かない試合を見ているようだった。後半に本田選手と柿谷選手そして工藤選手が投入された直後に、攻撃陣のプレースピードが一気に上がり15分程度で試合を決めてしまった。

  このまま10点くらい取るのかと思ったところで、ザッケローニ監督は3-4-3に変更したので、リズムが変わってしまったが、日本代表の真の強さが見えた15分だったと思う。柿谷・本田・香川に工藤の4選手が目の色を変えて相手ゴールを目指す。4人とも表情が完全に「イって」いた。4人とも強烈なパーソナリティを誇り、自分の能力に完全に自信を持って「オレが決めてやる」オーラが全開でした・・・。

  前節の福岡戦では、リードされてゴールを目指すケンペスと米倉に同じようなオーラがありました。絶好機でパスをを出さずに自分で打ったケンペスに対し、米倉が凄い剣幕で詰め寄るシーンも見られました。その後ケンペスの同点ゴールの直後、喜び合う2人の姿には熱いものを感じました。おそらくジェフファンの多くは闘志を見せる米倉と「共闘」できる選手を使ってくれと感じているはずです。ケンペス・田中・佐藤健の3人に加えて新たに森本選手が高いモチベーションでやってきたように感じますが・・・。

  FKの伊藤選手はともかく、高い技術でスタメン入りした大塚選手が、ケンペスとのコンビネーションに成長が感じられず、今節も途中出場も試合にまったく入れず、チーム状況の未熟さを露呈しました。そして本来はチームを引っ張るはずの谷澤選手が無責任極まる「軽いプレー」を連発し、さすがの鈴木監督も懲罰交代を発動しました。そして同じくベテランの兵働選手も途中出場しましたが、慣れないシチュエーションになにも仕事ができず・・・。

  敢えて厳しいことを言うならば、監督の期待を受けてスタメンフル出場を飾った町田選手も待ちに待った「瞬間」なわけですから、もっと全力で戦う準備があっても良いのではないかと思います。さて日本代表を模したような、「オレ様カルテット」をジェフの前線で結成するとしたら? 現状ではケンペス・森本・田中・町田の4選手でしょうか。町田選手の代わりに米倉選手を入れて、後ろに闘志溢れるキムヒョヌン選手が控えてもいいかもしれません。次節のスタメンに期待したいと思います。


ジェフ千葉1−2京都サンガ   得点者 田中


スタメン
GK岡本 6.0△(不可抗力の2失点、いつもならビッグセーブで勝利も・・・)
DF米倉 5.5△(後半の悲惨なチームでは、いつもの闘志も見せられず)
DF竹内   5.5△(最終ラインで強さを見せたが、フィードやパス回しの不安定さでチームが浮き足立つことも)
DF山口(智)    5.0▲(J2でやってられっかという意識があるのかと邪推してしまう)
DF高橋    5.0▲(ヤザのミスを良くカバーして、プレスや裏へ抜けるタイミングも良いが、もっと大仕事を!)
MF佐藤(勇)   4.5▲(スタミナの鬼と評されたのも過去?前半だけで終わってしまった)
MF伊藤  6.0△(FKの精度は申し分ない、セットプレーでの期待感は高いが、ロングパスも見たい)
MF谷澤   3.5★(雑なプレーを連発してプロとは思えない醜態をさらした。スタメン落ちも覚悟すべき)
MF町田   5.5△(実質的なプロデビューで「何か」をしようとしていたが、運がなかった、次もチャンスあるよ)
MF田中   6.0△(ヨネに並ぶオールラウンダーでチームへの貢献は高い、交代したらチームが終わった・・・)
FWケンペス    7.0△(森本と一緒にやれば結果はでただろう、戦術の犠牲者か)

交代
FW大塚  4.0△(ゴールを挙げることでしか評価を上げることはできない)
MF兵働  4.0△(体にキレがなく、去年見せた相手を圧倒する技術が影を潜める)
MF森本 5.0△(プレー時間が長ければ結果は出るだろう、シーズンが終わる前に真価をみせるのか?)   






  

2013年9月3日火曜日

米倉の背中に羽根が見える!(第32節アビスパ福岡)

  4試合勝ちがなく、今日も最初からどう転ぶか解らない重苦しい雰囲気が漂う試合でした。またもや前半の早い時間で気力が削がれるような失点を喰らってしまい、「良くて引き分けか?」というサポーターながら疑心暗鬼な気分になってしまいました。コンディションの良し悪しが解りにくいケンペスが、やや浮き足立つ福岡DF陣をこじ開けようと奮闘する姿を見ても、周りとの連携不足で効果的な攻撃にならずヤキモキします。

  いつも以上にミスを重ねるジェフDF陣・・・。名指しで申し訳ありませんが竹内さんです!あくまで私の憶測ですが、この試合の竹内さんは「ミスしたらヤバいな」と頭で考えながらプレーしているようで、当然というかおそらくイメージ通りだったであろうミスを連発します。第29節松本山雅戦に現れた闘争心の塊のような竹内さんはどこへ行ってしまったのか? チームのテンションがガタ落ちになりそうな決定的ミスが数回あっただけでなく、ことごとくパスミスを繰り返していました・・・。

  こういうプレーが続くとチーム全体が下を向いてしまうのが、今のジェフの最大の弱点なのかなという気がします。本当に強いチームというのは仲間のミスで浮き足立つことなく、「オレがチームを救う」みたいな野心的な選手がいつも以上に躍動したりするものですよね。昨日のジェフには間違いなくそういう空気がありました。米倉選手の躊躇ない攻撃参加には「オレが絶対に決める」という強い意志を感じます。

  さらに昨日は佐藤勇人選手がスタメンだったこともあり、米倉選手の攻撃参加がいつも以上に威力を発揮しました。佐藤勇人選手は周りが早く動けば動くだけ、そのスピードに合わせてバックアップする能力を持った選手だと思います。その能力は日本代表の遠藤選手に匹敵するキレがあります。とにかくこの試合は米倉選手のムダ走りがとても少なかったです。

  米倉選手も味方が出した前線へのボールをかなり高い確率でビッグチャンスにつなげます。失礼ですが逆サイドの高橋選手にも同数以上のボールの供給が行われていますが、こちらのサイドはがっかりするほどにチャンスになりません。なにが違うのか? 竹内選手や高橋選手は元々名古屋グランパスや浦和レッズといった強豪チームのサブメンバーでした。これらの強豪チームには能力の高い選手が多く、竹内選手や高橋選手が中心になって戦うというシーンはほとんど無かったのではないかという気がします。竹内選手や高橋選手は前所属チームではチャンスがあれば出番が回ってきたタイプのプレーヤーでした。守備的な選手なので、おそらく出番が来たら次も使ってもらうために、「ミスをしないように」と考えて試合に入っていったのでしょう。同じくガンバ大阪に所属していた大塚選手や山口智選手も強豪の中でチームの中心とはやや違う立場でプレーしていました。

  こういった経歴の選手は能力は申し分ないのですが、メンタル面である種の弱さを抱えているのではないかと私は思います。一方でアマチュアチームからJ2のジェフで頭角を表した米倉選手には、逆にハングリーさというべき思い切りの良さがプレーにも見られるような気がします。欧州の主要リーグなどでも2部で思い切りよくプレーしてきた選手が1部でも大活躍することが多かったりするのもこれと同じだと思います。

  ジェフに新加入した森本選手もそういう意味では米倉選手のような思い切りの良さが特徴の選手といえるかもしれません。10代でイタリアに渡り、弱小チームの選手として活躍してきた経歴は今のジェフにとってとても貴重な存在だと改めて思います。およそ30分プレーした森本選手も可能性を感じさせるプレーを随所に繰り出していました。この試合の最終盤では、前線がケンペス・森本・米倉・田中のフィジカルとスピードに優れる4人になりました。まるでプレミアリーグを見ているような、縦パスに反応する4人が相手DFを追い越して突進する「キック&ラッシュ」は大塚・谷澤の技巧派とは違う「未体験」の迫力がありました。次節はスターターに大塚・谷澤を使って京都とテクニックの応酬を見せたあと。森本&田中を投入して"フィジカルテット"で決着を付けるという「王道」サッカーになりそうです。ナム&町田腐るなよ〜!



アビスパ福岡3−4ジェフ千葉   得点者 ケンペス3、米倉


スタメン
GK岡本 7.0△(3失点したが、勝利をたぐりよせるビッグセーブが何本もあった)
DF米倉 7.5☆(最前線に出てくると攻撃が一気に分厚くなって得点の匂いが充満!)
DF竹内   4.5★(せっかくの勝利も悔しいほどに良いところがなかったゲーム、次頑張ろう)
DF山口(智)    5.0▲(キレのある切り返しに軽くやられるシーンが目立った)
DF高橋    5.0▲(これだけ試合に出ていてまったくといっていいほど攻撃のアイディアが見られない、プロか?)
MF佐藤(健)   5.0▲(先制点のきっかけになる不運なファウル、プロだったらあれは油断じゃ?)
MF伊藤  6.0△(同点アシストは見事、ヨネに代わるアシストキングになれそうだ)
MF大塚   5.5△(3点目のセンスあるラストパス、だけどオレがハットトリックくらいの気持ちが欲しい)
MF佐藤(勇)    5.5△(スタメン復帰で熱いプレーが増えた、昇格のキーマンだと思ってるが・・・)
MF田中   5.5△(飛び出しまでは完璧だけど、その先の精度を上げてゴールを量産してほしい)
FWケンペス    7.0△(森本との関係が良さそう、久々の無双な立ち回りが他の試合でも出せるか?)

交代
FW森本  6.0△(敵陣で前を向いてタメを作れることを示した、これはチームにとって大きい)
MFキムヒョヌン  5.0△(守備固め要員だが、パスのセンスもなかなか非凡ボランチ起用もOKでは?)
MF大岩 5.0△(役割が地味なこともあり、入団時のハングリーさが感じられない気が・・・)